SUMMARY
要点をまとめると
01防災基本計画は2026年7月14日に修正されました。
02避難場所でのテントや飲料水、防寒具の備蓄、スロープなどの整備、道路の地下構造物の浸水対策、河川氾濫の特別警報の新設が主な項目です。
03多くは市町村が努める内容で、すぐ全ての場所にそろうとは限りません(2026年11月1日時点)
TO DO
今すぐやること
- 1市町村のサイトで指定緊急避難場所を確かめる
- 2暑さと寒さに備える物を避難用の袋に入れる
- 3大雨のとき地下道や地下駐車場に近づかない道を考える
- 4レベルの付いた新しい警報の名前を家族で見ておく
そもそも防災基本計画とは?
中央防災会議が作る、国の防災の最上位の計画です。
たとえるなら学校全体の方針があって、学年やクラスの計画がそれに合わせて作られるような関係です。
- 1国が計画を修正する災害の教訓や法律の改正を反映する
- 2機関や自治体が計画を作る防災業務計画と地域防災計画に反映する
- 3現場で形になる避難場所の整備や情報の伝え方に表れる
内閣府「防災基本計画」のページの説明を、やさしく言い換えています。
この記事をスライドで理解する(6枚)
1 / 6防災基本計画の修正2026 避難場所や備蓄は何が変わる?
避難場所に行けばテントがあるんですね?
そうとは限りません。市町村が「努める」内容なので、自分の避難先の様子を確かめましょう。
そなえ防災基本計画とは?いつ修正された?
避難場所の備えは何が変わる?
地下道や地下駐車場の浸水対策は?
まず、これだけ。
- 1市町村のサイトで指定緊急避難場所を確かめる
- 2暑さと寒さに備える物を避難用の袋に入れる
- 3大雨のとき地下道や地下駐車場に近づかない道を考える
- 4レベルの付いた新しい警報の名前を家族で見ておく
「防災基本計画が修正された」と聞いても、遠い国の話に感じるかもしれません。けれど、この計画は市町村の地域防災計画のもとになるものです。避難場所の備えや、私たちが受け取る情報の形に、時間をかけてつながっていきます。
この記事では、内閣府の「防災基本計画」のページ、修正の概要、新旧対照表と、首相官邸の中央防災会議の記事を2026年11月1日時点で確かめた内容をまとめました。全部で35ページある新旧対照表のうち、家庭に関係が深い点を選んで紹介します。
01この記事でわかること(3行まとめ)
- 避難場所の環境が修正の柱の1つです。熱中症と寒さへの対策として、テントや飲料水、防寒具の備蓄に市町村が努めることが加わりました。
- 水害の情報と対策も変わりました。河川氾濫の特別警報の新設や、市街地の道路地下構造物の浸水対策が入りました。
- すぐ全部がそろう話ではありません。計画は国や自治体の方針です。自分の避難場所の様子は市町村で確かめましょう。
02防災基本計画とは?いつ修正された?
防災基本計画は、災害対策基本法にもとづいて中央防災会議が作る、国の防災の最上位の計画です。国の機関や公共機関は防災業務計画を、地方公共団体は地域防災計画を、これをもとに作ります。
今回の修正は、令和8年7月14日に中央防災会議で決まりました。首相官邸の記事によると、会議は第46回で、議題は防災基本計画の修正でした。内閣府のページは、修正の内容を「最近の災害対応の教訓、関係法令の改正等を踏まえた修正」と説明しています。
内閣府の概要は、主な修正を3つに分けています。関連する法令の改正を踏まえたもの、令和7年度に発生した災害を踏まえたもの、その他の最近の施策の進展を踏まえたものです。
防災基本計画はどれくらいの頻度で変わる?
内閣府のページには、計画の作成と修正の履歴が載っています。計画は昭和38年6月に作られ、平成7年7月には阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて全面的に修正されました。平成23年12月には東日本大震災を踏まえて津波災害対策編が加わっています。
| 修正の時期 | 主な内容(履歴の記載より) |
|---|---|
| 令和6年6月 | 令和6年能登半島地震等の教訓、施策の進展等 |
| 令和7年7月 | 能登半島地震等の教訓、災害対策基本法等の改正 |
| 令和8年7月 | 最近の災害対応の教訓、関係法令の改正等 |
近年は毎年のように修正が続いています。災害が起きるたびに教訓を反映していく計画だと考えると分かりやすいでしょう。首相官邸の記事によると、この会議の前日に防災庁の設置に関する法律が成立し、総理は年内に防災庁を設置すると述べました。中央防災会議は、防災庁の発足後は防災庁に移ることになっています。
03避難場所の備えは何が変わる?
避難場所に行けばテントがあるんですね?
そうとは限りません。市町村が「努める」内容なので、自分の避難先の様子を確かめましょう。
そなえどれも市町村などが「努める」内容です。
「指定緊急避難場所」とは、災害の危険から命を守るために、まず逃げる先として市町村が指定した場所のことです。今回の修正では、令和7年度のカムチャツカ半島東方沖を震源とする地震に伴う津波を踏まえて、この場所の環境についての記述が加わりました。
- 避難が長時間にわたることも想定し、熱中症対策と防寒対策として、テントや飲料水、防寒具等の備蓄に市町村が努める
- 民間施設を避難場所として使う場合は、空調の確保や備蓄品の提供について、あらかじめ施設管理者と調整するよう努める
- 発災後に避難者を速やかに把握できるよう、衛星電話の配備や監視カメラの設置に努める。概要ではドローン等の活用も挙げている
文章の終わりはいずれも「努める」です。つまり目指す方向を示したもので、修正の日からどの避難場所にもそろうという意味ではありません。自分が向かう場所に何があるかは、市町村に確かめるのが確実です。
04高齢の人や障害のある人の避難はどう変わる?
新旧対照表には、市町村が指定緊急避難場所を整備するときに、高齢者や障害者などの要配慮者が円滑に避難できるよう、スロープを設置するなどバリアフリー環境の整備に努める、という文が新しく加わりました。要配慮者とは、避難や避難生活で特に手助けが必要な人のことです。
地域の防災の話し合いについても変更があります。防災の方針を決める場や現場への参画を広げる対象に、女性、高齢者、障害者に加えて、こども・若者が明記されました。地方防災会議の委員への任命に加えて、地域での意見の聴取も書き加えられています。
05大雨の情報はどう変わった?河川氾濫の特別警報とは
レベルの数字は何を見ればいいの?
情報の名前に付いています。レベル4相当は「危険警報」という名前です。
そなえ気象業務法と水防法の改正を踏まえて、河川氾濫に関する特別警報の新設、河川の管理者などから都道府県知事などへの氾濫に関する通報、国と都道府県が共同で出す高潮の予報と警報が、計画に反映されました。
これに関連して、新しい防災気象情報の運用も始まっています。内閣府の避難情報のガイドラインのページでは、運用開始を令和8年5月下旬としています。概要で示された主な点は次のとおりです。
| 警戒レベル | 河川氾濫の情報の名前 |
|---|---|
| 5相当 | レベル5氾濫特別警報 |
| 4相当 | レベル4氾濫危険警報 |
| 3相当 | レベル3氾濫警報 |
| 2 | レベル2氾濫注意報 |
大雨、土砂災害、高潮も同じ形で、情報の名前に「レベル」が付きます。警戒レベル4相当の情報は「危険警報」という名前です。このほか、記録的短時間大雨などを伝える「気象防災速報」と、時系列の情報の提供も挙げられています。
06地下道や地下駐車場の浸水対策は?
概要は、集中豪雨による三重県四日市市の地下駐車場の浸水を踏まえた修正として、市街地の道路地下構造物の浸水対策の推進を挙げています。新旧対照表では、国土交通省と地方公共団体が、道路のアンダーパス部(線路や道路の下をくぐる低い道)などに加えて、市街地の道路地下構造物でも冠水などを防ぐため、排水施設などの補修を進めるとされています。
対策には時間がかかります。低い場所に水が集まる点は、計画が修正されても変わりません。大雨の予報が出ているときは、地下道や地下駐車場を通らない道を考えておきましょう。すでに水がたまっている道には入らないでください。
07エレベーターや踏切の対策は何が加わった?
新旧対照表には、街の中の安全に関する文も新しく加わっています。
- エレベーター:地震時に自動で止まる管制運転装置の設置、閉じ込められた人を早く救出する体制の整備、施設管理者によるエレベーター内への防災備蓄品の配置などを進める
- 踏切:緊急車両の通行を確保するため、道路をふさぐ物を取り除いて通れるようにするルート上の踏切を「災害時優先開放踏切」に指定し、踏切の状況を共有する連絡体制を整える
どちらも国や自治体、事業者が進める内容です。エレベーターに備蓄品があるかどうかは建物によって違うので、マンションや職場の管理者に尋ねてみるとよいでしょう。
08情報の伝え方と、被災後の手続きはどう変わる?
情報の伝え方では、地方公共団体がLアラート(災害情報共有システム)を通じて災害関連情報を迅速かつ正確に発信するよう努める、という文が加わりました。同じ文には、防災行政無線や掲示板、報道機関、ポータルサイトなどの協力を得て伝えることも書かれています。市町村の情報は、1つの手段に頼らず、いくつかの方法で受け取れるようにしておくと安心です。
被災後の手続きでは「罹災証明コーディネーター」が加わりました。罹災証明書は住まいの被害の程度を市町村が証明する書類で、公的な支援を受けるときに必要になります。国が、経験のある人の登録を平時に呼びかけ、災害時に派遣を調整します。書類の交付が遅れないようにするための修正です。
書類の交付に経験のある職員が少ない市町村には、国と都道府県が必要に応じてコーディネーターの派遣を調整します。自分が被災したときに書類が早く届くかどうかにつながる修正です。
記録的短時間大雨や線状降水帯、竜巻などの顕著な現象が起きているか起きつつあるときは、気象庁が「気象防災速報」を発表して、特別警報や危険警報を補う、という文も加わりました。
このほか、保健医療福祉調整本部の役割の追加(物資支援の調整や傷病者の搬送の調整)、企業の先進技術と防災の需要を結び付ける取り組みも入りました。
09「避難施設のデュアルユース」とは?
何か手続きがいるのですか?
確かめた資料に、住民の手続きの話はありません。近くの避難先は市町村で確かめましょう。
そなえデュアルユースとは、1つのものを2つの目的で使うことです。今回の修正では、自然災害等と武力攻撃事態等の両方を想定した避難施設のデュアルユースを進める環境整備が書かれました。帰宅困難者のための一時滞在施設の確保の文にも、この考え方が加わっています。
新旧対照表では、ほかにも次のような文が加わっています。指定避難所について、武力攻撃事態等でも使える場合には使うことを想定する。防災の備蓄と国民保護の備蓄は相互に兼ねられるという認識で備蓄に取り組む。防災訓練で国民保護の取り組みを紹介するなど、国民保護訓練との連携に留意する、といった内容です。国民保護とは、武力攻撃などから住民を守る取り組みのことです。
確かめた資料に、住民がすぐ行う手続きの話はありません。自宅の近くの避難先の指定内容は、市町村のハザードマップや公式サイトで確かめましょう。
10原子力災害の屋内退避は何が変わった?
原子力災害対策編にも新しい文が入りました。屋内退避とは、放射性物質が含まれる空気の塊(プルーム)からの被ばくを減らすために、建物の中にとどまることです。
- 原子力災害対策本部は、屋内退避を始めてから3日目を目安に、続けるかどうかを判断する。それ以降は毎日判断する
- 物資の不足などで生活を続けるのが難しい場合などは、自治体と連携しながら避難への切り替えを判断し、指示する
- 施設の状態が安定するなどの条件が確認できた場合は、屋内退避を解除する
原子力施設の周辺に住む人は、市町村と都道府県の案内を確かめ、指示に従ってください。
11計画の修正を受けて家庭で確認すること
- 市町村のサイトで指定緊急避難場所を確かめる
- 暑さと寒さに備える物を避難用の袋に入れる
- 大雨のとき地下道や地下駐車場に近づかない道を考える
- レベルの付いた新しい警報の名前を家族で見ておく
避難場所に備えがあるかどうかが分からないうちは、自分の分を持って逃げられるようにしておくと安心です。ただし、持ち物を集めるために逃げ遅れないよう、市町村の案内と公的機関の呼びかけを優先してください。
12確かめる先・相談先
- 計画の全文と概要:内閣府「防災基本計画」のページ
- 自宅近くの避難場所:お住まいの市区町村の防災担当、ハザードマップ
- 新しい警報の名前:気象庁の防災気象情報のページ
よくある質問
防災基本計画はいつ修正されましたか?
令和8年7月14日に中央防災会議で修正が決まりました。
避難場所にテントが必ず置かれるようになりますか?
市町村が備蓄に努めるという内容です。今すべての場所にあるとは限らないので、市町村で確かめましょう。
河川氾濫の特別警報は新しい情報ですか?
はい。概要に、河川氾濫に係る特別警報の新設が挙げられています。名前は「レベル5氾濫特別警報」です。
住民がしなければならない手続きはありますか?
確かめた資料に、住民の手続きの話はありません。
全文はどこで読めますか?
内閣府「防災基本計画」のページに、概要、新旧対照表、計画の全文が載っています。
次にやること
出典(5件)
- 内閣府「防災基本計画」
- 内閣府「防災基本計画修正(令和8年7月)の概要」
- 内閣府「防災基本計画修正 新旧対照表」
- 首相官邸「中央防災会議」(令和8年7月14日)
- 内閣府「避難情報に関するガイドラインの改定(令和8年3月)」
公的機関などの資料をもとに編集部がまとめました。専門家の監修は受けていません。

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