SUMMARY
要点をまとめると
0110月16日12時40分の緊急地震速報(警報)は、実際はM6.9の遠い地震で、規模をM9.9と過大に推定して北海道から中部地方に出たものです。
02遠い観測点を計算から外す機能が正常に動かなかったことが原因のひとつで、調査は続いています。
03次に聞いても、まず身の安全を確保しましょう(2026年11月1日時点)
TO DO
今すぐやること
- 1次に速報を聞いても、まず身の安全を確保すると決めておく
- 2揺れが来なかったときは地震情報を確かめる
- 311月5日の訓練で身を守る動きを試す
- 4家具の固定など揺れへの備えを進める
そもそも緊急地震速報の過大発表とは?
地震の規模や揺れを実際より大きく見積もって、速報を出してしまうことです。
たとえるなら遠くの小さな音を、すぐ近くの大きな音だと聞き間違えるようなものです。
- 1短いデータで計算P波を検知した直後のデータを使う
- 2規模を推定遠い観測点が入ると大きく見積もることがある
- 3対象の範囲を決める推定が大きいほど範囲が広くなる
気象庁の報道発表と「緊急地震速報の特性や限界」の説明をやさしく言い換えています。
この記事をスライドで理解する(6枚)
1 / 6緊急地震速報の過大発表とは?M9.9推定の原因と受け止め方
原因はもう全部分かったのですか?
気象庁は「原因のひとつ」と説明し、調査を続けています。全部が分かったとは言っていません。
そなえなぜM9.9と過大に推定した?原因として分かっていること
気象庁はどんな対策をした?
「当たらないこともある」は普段からの限界?
まず、これだけ。
- 1次に速報を聞いても、まず身の安全を確保すると決めておく
- 2揺れが来なかったときは地震情報を確かめる
- 311月5日の訓練で身を守る動きを試す
- 4家具の固定など揺れへの備えを進める
2026年10月16日のお昼すぎ、スマホや放送で緊急地震速報に驚いた人も多かったはずです。「大きな揺れが来ると思ったのに、何も起きなかった」「次に鳴っても信じていいの?」と感じた人もいるでしょう。
この記事では、気象庁の報道発表と3回の「配信資料に関するお知らせ」を2026年11月1日時点で確かめた内容をまとめました。何が起きたのか、原因として分かっていること、まだ調査中のこと、そして次に速報を聞いたときの動き方を整理します。原因の調査は続いているので、断定できないことはそのように書きます。
01この記事でわかること(3行まとめ)
- 実際の地震はM6.9で、規模をM9.9と過大に推定しました。函館市で震度1を観測した地震で、北海道から中部地方に警報が出ました。
- 遠い観測点を計算から外す機能が正常に動いていませんでした。気象庁は原因のひとつと説明し、緊急の対策をしたうえで調査を続けています。
- 次に聞いても、動き方は同じです。周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保します。
0210月16日の緊急地震速報で何があった?
気象庁の発表によると、経過は次のとおりです。
| 時刻(10月16日) | できごと |
|---|---|
| 12時38分頃 | カムチャツカ半島付近を震源とする地震が発生。M6.9(速報値) |
| 12時40分 | 北海道から中部地方に対して緊急地震速報(警報)を発表 |
| 12時52分 | 地震情報を発表。最大震度は1(函館市新浜町)。津波の心配なし |
| 14時00分 | 報道発表。過大となった原因は調査中 |
| 21時30分ごろ | 遠い観測点を計算に使わない機能が動くよう緊急の対策 |
12時52分の地震情報では、震源の深さは約160kmと推定され、「緊急地震速報を発表しましたが、強い揺れは観測されませんでした」と書かれています。発表資料の地図でも、警報の対象の地域が広い範囲に及んでいることが分かります。
気象庁の履歴によると、地震波を検知した時刻は12時38分10.1秒です。緊急地震速報のための計算は短い間に何度も更新されます。最初の提供は検知から17.6秒後でマグニチュード6.2でした。その後、検知から73.5秒後の更新でマグニチュードの推定が9.9になっています。警報の提供は12時40分02.6秒で、検知から112.5秒後でした。続けて12時40分41.6秒にも警報が提供されています。
確かめた資料には、この速報で起きた混乱や交通などへの影響の数字は書かれていません。この記事でも触れません。
03なぜM9.9と過大に推定した?原因として分かっていること
原因はもう全部分かったのですか?
気象庁は「原因のひとつ」と説明し、調査を続けています。全部が分かったとは言っていません。
そなえ気象庁は「原因のひとつ」と説明し、調査を続けています。
気象庁は、10月16日の間に原因についてのお知らせを段階的に出しました。
- 第1報(14時の発表と同じ内容):震源を千島列島に決定し、マグニチュードを9.9と過大に推定したことによる。原因は調査中。
- 第2報:日本から震源が非常に遠いところの地震に、国内用のマグニチュードを求める式を適用した。本来、マグニチュードの計算と震度の予測に使う震源は同じである必要があるが、今回は異なっていた。
- 第3報:震源から遠い観測点をマグニチュードの計算に用いたことが原因のひとつ。遠い観測点を計算に使わない機能が、今回は正常に動作していなかったことが判明した。
少し詳しく説明します。緊急地震速報は、地震の大きさを短い時間のデータで計算します。震源から遠い観測点のデータがそのまま計算に入ると、地震の規模を実際より大きく見積もることがあります。今回はこれに関係した問題が起きた、というのが気象庁の説明です。
過去にも似た例があります。令和2年7月30日の鳥島近海を震源とする地震で過大な緊急地震速報が出ました。その改善策として、震源から700km以上遠い観測点をマグニチュードの計算に用いないことにしていました。ところが今回は、この機能が正常に動いていませんでした。
なお、なぜ機能が動かなかったのかの詳しい理由は、確かめた資料には書かれていません。第3報の言い方も「原因のひとつ」です。すべての原因が明らかになったという説明ではないので、この記事でも断定しません。
04気象庁はどんな対策をした?
もう同じことは起きないのですか?
今回の地震については警報が出なくなることを確認したとされています。ほかの場合については、調査の続報を確かめましょう。
そなえ気象庁は、10月16日21時30分ごろ、遠い観測点を計算に使わない機能が動くように緊急の対策をしました。この対策で、今回の地震に対しては緊急地震速報(警報)が発表されなくなることを確認した、と説明しています。
第3報では「誤った緊急地震速報の発表により、国民の皆様には多大なご迷惑とご負担をおかけした」として、お詫びもしています。今回の事案について引き続き調査を進め、必要な対策を実施するとしています。確かめた時点で、これより新しい原因の詳しい報告は見つかりませんでした。
もう1つ、別の不具合も発表されています。12時48分に配信される予定だった緊急地震速報のキャンセル報の一部(かな漢字の電文)に欠落がありました。キャンセル報とは、発表した速報を取り消すための連絡です。気象庁は10月26日に、この不具合が解消したと発表しました。これは情報を受け取る事業者向けのお知らせで、他の電文は配信できていたと書かれています。
05そもそも緊急地震速報はどう計算している?
地震の揺れは波になって伝わります。速い「P波」(秒速約7km)と、遅いが揺れの強い「S波」(秒速約4km)があります。気象庁は、震源の近くでP波を検知した地震計のデータから、震源や地震の規模、揺れの強さを自動で瞬時に計算します。S波が来る前に知らせることを目指す仕組みです。
緊急地震速報(警報)は、地震波が2点以上の観測点で観測され、最大震度が5弱以上または最大長周期地震動階級が3以上と予想されたときに発表します。今回のように推定の規模が大きいと、予想される揺れも広い範囲で大きくなり、対象の地域が広がります。
緊急地震速報には「警報」と「予報」があります。警報のうち、震度6弱以上または長周期地震動階級4の揺れが予想される場合は「特別警報」に位置づけられています。テレビやラジオでは、特別警報も通常の警報と区別せずに放送されます。
対象の地域でなくても放送で聞くことはある?
あります。気象庁の説明では、NHKは緊急地震速報(警報)を、どの地域が対象であっても全国すべての地域で放送します。民間の放送局は、放送エリアが対象地域のときに放送します。スマホの場合は携帯電話各社の仕組みで届き、テレビやラジオとは別の、各社共通の報知音が使われます。放送局によっては、より大きな震度などが予想されたときだけ放送するところもあります。テレビやラジオは、電源が切れていると受信できません。放送で流れていても自分の地域が対象とは限らないので、聞こえたらまず身を守り、そのあとで対象の地域を確かめましょう。
06「当たらないこともある」は普段からの限界?
気象庁は、緊急地震速報の特性と限界を次のように説明しています。今回の問題とは別に、もともと知っておきたい性質です。
- 時間がわずかしかない:発表から強い揺れまでは、数秒から長くても数十秒程度です。
- 間に合わない場合がある:解析や伝達に数秒程度かかるので、内陸の浅い地震などでは、震源に近い場所に間に合いません。
- 予想に誤差がある:予想震度は±1階級程度の誤差を伴うことがあります。
- 誤差が大きくなる場合がある:地震観測網から100km程度以上遠い場所で起きた地震では、震源やマグニチュードの推定の誤差が大きくなる可能性があります。
- 誤った発表の可能性:1つの観測点のデータの段階では、事故や落雷、機器の障害で誤った緊急地震速報(予報)を出す場合があります。
今回の地震は震源が日本から遠く、この「推定の誤差が大きくなる」場面にあたると考えられます。ただし、M9.9という大きな差については、それを防ぐはずの機能が動いていなかったと気象庁が説明しています。限界があるからこそ、速報の良し悪しだけに頼らず、体を動かす練習と家の中の対策を組み合わせることが大切です。
07次に緊急地震速報を聞いたらどうする?
また間違いかも、と思って待ってはだめ?
本当に揺れるかは数秒では分かりません。まず身の安全を確保して、そのあとで確かめましょう。
そなえ答えは今までと変わりません。「また過大かもしれない」と考えて様子を見るのではなく、まず身を守りましょう。そのときに本当に揺れが来るかどうかは、数秒では分からないからです。
- 周りの人に声をかける
- 周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する
- 揺れが来なければ、テレビやラジオ、気象庁の地震情報で確かめる
家では頭を守り、丈夫な机の下など安全な場所に避難します。あわてて外に飛び出したり、無理に火を消そうとしたりしないでください。運転中は急ブレーキをかけず、ハザードランプをつけて、ゆるやかに速度を落とします。エレベーターでは最寄りの階で止めてすぐ降ります。
揺れが来なかったとしても、「動いて損をした」と考える必要はありません。数秒から数十秒の間に頭を守るだけなら負担は小さいものです。一方、誤報を恐れて動かない習慣がつくと、本当の地震で間に合わなくなるおそれがあります。
08これから家庭で確認しておくこと
- 次に速報を聞いても、まず身の安全を確保すると決めておく
- 揺れが来なかったときは地震情報を確かめる
- 11月5日の訓練で身を守る動きを試す
- 家具の固定など揺れへの備えを進める
放送や通知だけに頼らないよう、自宅の市区町村の防災行政無線で流れるかどうかも尋ねておくと安心です。放送の有無や基準は市区町村によって異なると気象庁は案内しています。
11月5日10時頃には緊急地震速報の全国的な訓練があります。実際に体を動かすよい機会です。また、気象庁は家屋の耐震化や家具の固定など、ふだんからの備えを呼びかけています。速報が間に合わない場面もあるので、あらかじめ家の中の安全を整えておくことが助けになります。
09確かめる先・相談先
- この件の原因の続報:気象庁の報道発表、配信資料に関するお知らせ
- 過去の発表状況:気象庁「緊急地震速報の発表状況」
- 緊急地震速報の仕組みと限界:気象庁「緊急地震速報について」
- 問い合わせ:気象庁 地震火山部 地震津波監視課 03-3434-9041
よくある質問
10月16日の緊急地震速報は誤報だったのですか?
地震は実際に起きましたが、規模をM9.9と過大に推定しました。気象庁は第3報で「誤った緊急地震速報」と表現しています。
どこで揺れましたか?
観測された最大の震度は1で、函館市です。
原因は何ですか?
震源から遠い観測点をマグニチュードの計算に用いたことが原因のひとつで、これを防ぐ機能が正常に動作していなかったと説明されています。調査は続いています。
対策はされましたか?
10月16日21時30分ごろ緊急の対策が行われました。
次に鳴ったときは信じていいですか?
数秒では本当に揺れるか分かりません。まず身の安全を確保してから確かめましょう。
用意するなら
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次にやること
出典(12件)
- 気象庁「令和8年10月16日12時40分に発表した緊急地震速報(警報)について」(報道発表)
- 気象庁 同 資料全文(PDF)
- 気象庁「配信資料に関するお知らせ(第2報)」
- 気象庁「配信資料に関するお知らせ(第3報)」
- 気象庁「緊急地震速報かな漢字電文のキャンセル報の欠落について」
- 気象庁「同(復旧)」
- 気象庁「緊急地震速報の特性や限界、利用上の注意」
- 気象庁「緊急地震速報のしくみ」
- 気象庁「緊急地震速報(警報)及び(予報)について」
- 気象庁「緊急地震速報を見聞きしたときは」
- 気象庁「緊急地震速報の入手方法について」
- 気象庁「配信資料に関するお知らせ(令和8年10月16日12時40分に発表した緊急地震速報(警報)について)」
公的機関などの資料をもとに編集部がまとめました。専門家の監修は受けていません。

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