SUMMARY
要点をまとめると
01使い始める前に、電気の暖房器具はリコール対象かどうかと電源コード・プラグを、石油の暖房器具はほこり、灯油の新しさ、給油口のふたを確かめます。
02どちらも洗濯物や布団を近くに置かず、寝るときと出かけるときは電源を切ります(2026年11月1日時点)。
TO DO
今すぐやること
- 1製品名でリコール対象かどうかを調べる
- 2電源コードとプラグに破れや変形がないか見る
- 3石油の暖房器具の置き台のほこりを取る
- 4昨シーズンの灯油を使わない
- 5説明書で燃えやすい物との距離を見て、家具や洗濯物を離す
そもそも離隔距離とは?
暖房器具と、壁や燃えやすい物の間にとる距離のことです。
たとえるなら暖房器具のまわりに、物を置かない空間を決めておくようなものです。
- 1説明書を見る前、上、横、後ろの距離が書かれています。
- 2まわりを見る洗濯物、布団、カーテンなど動く物も見ます。
- 3離して置く書かれた距離をとれる場所に置きます。
NITE「適切な離隔距離、知っていますか?」(2026年10月29日)の説明をやさしくしました
この記事をスライドで理解する(6枚)
1 / 6暖房器具の点検、使う前にどこを見る?事故543件から分かる注意点
使い方が悪いと事故になるのですか?
使い方の事故だけではありません。電気暖房器具では内部の配線の異常やリコール対象製品の事故も多くなっています。
そなえ電気の暖房器具で確認すること
石油の暖房器具で確認すること
燃えやすい物との距離はどのくらいですか
まず、これだけ。
- 1製品名でリコール対象かどうかを調べる
- 2電源コードとプラグに破れや変形がないか見る
- 3石油の暖房器具の置き台のほこりを取る
- 4昨シーズンの灯油を使わない
朝晩が冷えてくると、去年しまったストーブを出してそのまま使いたくなります。けれど、1年ぶりの機器が本当に大丈夫なのか、どこを見ればよいのか分からない人も多いはずです。
この記事では、NITE(製品評価技術基盤機構。製品の事故を調べる機関)の発表資料を2026年11月1日時点で確かめ、使い始める前に見る場所をまとめました。難しい道具はいりません。順番に見ていきましょう。
01この記事でわかること(3行まとめ)
- 2021年から2025年までの5年間で、主な暖房器具の事故は543件ありました。
- 電気はリコールとコード、石油はほこり、灯油、給油口のふたを見ます。
- どちらも、燃えやすい物との距離と、寝るときと出かけるときに切ることが大切です。
02暖房器具の事故はどのくらい起きていますか
NITEの資料によると、2021年から2025年までの5年間に、主な暖房器具の事故が543件ありました。件数には、重大製品事故に加えて、それ以外の事故の情報も含まれます。主な暖房器具とは、電気ストーブ・電気ファンヒーター、石油ストーブ・石油ファンヒーター、ガスストーブ・ガスファンヒーター、オイルヒーター、電気カーペット、電気こたつです。
このうち、電気と石油の暖房器具の事故が約8割を占めます。
| 種類 | 事故件数 | うち火災 | 亡くなった方が出た事故 |
|---|---|---|---|
| 電気暖房器具 | 204件 | 178件 | 17件(18人) |
| 石油暖房器具 | 239件 | 233件 | 45件(51人) |
事故は11月ごろから大きく増え、12月から2月に集中しています。これから使い始める今の時期に見ておくと、間に合います。
03どんな原因の事故が多いのですか
使い方が悪いと事故になるのですか?
使い方の事故だけではありません。電気暖房器具では内部の配線の異常やリコール対象製品の事故も多くなっています。
そなえNITEは、原因の分かった事故を事象別にまとめています。原因の特定までには至っていなくても、その可能性が高い事故も含みます。
| 電気暖房器具 | 件数 |
|---|---|
| 内部の配線の断線や接触不良で異常に熱くなった | 36件 |
| コードを繰り返し曲げるなどして断線し、異常に熱くなった | 24件 |
| リコール対象製品の事故(未対応の製品) | 20件 |
| 燃えやすい物が触れた、または放射熱で火が出た | 16件 |
| 石油暖房器具 | 件数 |
|---|---|
| 給油口のふたの閉め忘れなどで漏れた灯油に火がついた | 24件 |
| 燃えやすい物が触れた、または放射熱で火が出た | 17件 |
| ガソリンを誤って入れて火が出た | 17件 |
| 掃除不足で燃え方が悪くなった、たまった物に火がついた | 13件 |
放射熱とは、熱い物から離れた場所まで伝わる熱のことです。触れていなくても、近いだけで火が出ることがあります。
事故は年によってどう変わっていますか
NITEの資料では、電気暖房器具は毎年40件前後の事故が起きていて、ほぼ横ばいです。石油暖房器具も毎年起きています。
| 年 | 電気暖房器具 | 石油暖房器具 |
|---|---|---|
| 2021年 | 44件 | 48件 |
| 2022年 | 45件 | 58件 |
| 2023年 | 39件 | 51件 |
| 2024年 | 34件 | 50件 |
| 2025年 | 42件 | 32件 |
年代で見ると、電気暖房器具は幅広い年代で起きています。石油暖房器具は70歳代以上の割合が多くなっています。NITEは、石油ストーブで高齢の方の割合が高い理由として、年齢に伴う判断力や体の働きの低下、長く使っている慣れによる油断などが考えられるとしています。
被害の大きさも違います。石油暖房器具の事故239件のうち、亡くなった方が出た事故は45件です。重いけがが11件、軽いけがが47件ありました。電気暖房器具の事故204件では、亡くなった方が出た事故は17件、重いけがが4件、軽いけがが11件です。電気は安全、石油は危険と決めるのではなく、どちらも点検する理由として受け止めてください。
04電気の暖房器具で確認すること
- リコール対象製品ではないかを調べます。消費者庁のリコール情報サイトと、NITEのSAFE-Liteで検索できます。
- 電源コードの被覆に破れやひび割れがないか、硬くなっていないかを見ます。少し曲げて確かめます。本体側とプラグ側の根元は特に見ます。
- 電源プラグが変形、変色していないか、溶けていないかを見ます。
- コンセントに差したとき、緩くて抜けやすくないかを見ます。
- たこ足配線になっていないかを見ます。
電気の暖房器具は消費電力が大きいので、説明書で延長コードの使用が禁止されていることがあります。延長コードを使うときは、つないだ機器の消費電力の合計が、延長コードの最大消費電力を超えないようにします。
NITEが紹介した事例の中には、2025年10月に神奈川県で、使用中の電気ストーブの電源コードの途中で芯線が切れ、周辺が焼けたものがあります。ふだんの使い方で力がかかる位置ではなく、NITEは製品に起因しない事故と推定しています。使う前の点検で、変わったところがないか見る意味があります。
05石油の暖房器具で確認すること
- ほこりを取ります。使い始める前に掃除し、シーズン中も定期的に掃除します。石油ストーブの置き台や燃える部分の近くは特に見ます。
- 新しい灯油を使います。昨シーズンの灯油は使いません。
- カートリッジタンクのふたがしっかり閉まるか、漏れがないかを見ます。火のない場所で確かめます。
- 最初に火をつけたら、燃え方を見ます。変なにおい、煙、炎の異常、異音、灯油の漏れがあれば、火を消して使用をやめ、販売店やメーカーに相談します。
ほこりがたまると燃え方が悪くなったり、炎が逆流して石油ストーブの下からあふれる現象が起きて、ほこりに火がついたりするおそれがあります。石油ファンヒーターでは、ほこりで空気の取り込み口がふさがれて、異常に燃えた事故も起きています。
資料によると、石油ストーブでは高齢の方の事故の割合が高くなっています。離れて暮らす家族がいる人は、電話や帰省のときに、一緒に確かめるとよいでしょう。責める話ではなく、声をかけるきっかけとして使ってください。
給油口のふたはどう確かめますか
- 給油の前に、必ず火を消します。
- 給油したら、給油口のふたが閉まっていることを確かめてから本体に戻します。
- 火のない場所で、ふたを下にして、灯油が漏れないかを見ます。
NITEが紹介した事例に、2024年12月に東京都で起きた火災があります。給油のあと、カートリッジタンクを本体に戻すときに給油口のふたが外れ、こぼれた灯油に火がついたものと推定されています。建物1棟が全焼し、5棟に燃え広がり、1名がやけどを負いました。
ふたには、ねじ式やワンタッチ式などがあります。NITEによると、2011年以降に売られた製品では、ふたが閉まったことを音、目で見る、手の感触などで確かめやすくなっています。外れても灯油がこぼれない構造のものもあります。長く使っている機器は、このような機能がない場合があるので、説明書を見ながら確かめてください。
06去年の灯油はなぜ使ってはいけないのですか
においが普通なら去年の灯油でもいいですか?
変化がなくても傷んでいる場合があります。昨シーズンの灯油は使わず、買った販売店に処分を相談します。
そなえ灯油は時間がたつと傷みます。昨シーズンの灯油をそのまま使うと、燃え方がおかしくなったり、一酸化炭素がたくさん出たりするおそれがあります。一酸化炭素は、色もにおいもない有毒なガスです。
傷んだ灯油は、薄い黄色に変わったり、すっぱいにおいがしたりすることがあります。ただ、見た目やにおいに大きな変化がなくても、傷んでいる場合があります。余っていたら、タンクや本体から抜いて、処分は買った販売店に相談します。
防災の備えとして灯油を置いている人もいると思います。NITEは、災害時などやむを得ず使う場合は、変色や変なにおいがないかを確かめるよう書いています。長く置いたままにせず、シーズンごとに使い切るようにすると安心です。
ガソリンは、少し混ざっただけでも火災のおそれがあります。灯油は灯油用のポリタンクなどの専用の容器に入れ、ガソリンは消防法に合った金属製の携行缶に入れます。別の場所に置き、ラベルで分けて、間違えないようにします。2024年1月に千葉県で起きた事例では、石油ファンヒーターにガソリンを誤って入れたため異常に燃え、住宅が全焼し、1名がやけどを負ったものと推定されています。
ファンヒーターの近くにスプレー缶を置くことにも注意します。NITEの集計では、石油暖房器具で、スプレー缶が近くにあって破裂したり、近くで使ってガスに火がついたりした事故が5件ありました。
07燃えやすい物との距離はどのくらいですか
どのくらい離せばいいですか?
機種で違うので説明書を見ます。例として、前方放射型の電気ストーブでは前と上が100cm以上です。
そなえ定格入力2kW以下の前方放射型の電気ストーブの例です。距離は機種で違うので、説明書を見ます。
洗濯物、布団、衣類、クッションなどは、暖房器具の近くに置きません。壁や家具から離す距離は、説明書に書かれています。距離は製品によって違います。
NITEは一例として、火災予防条例の決まりを紹介しています。定格入力2kW以下の前方放射型の電気ストーブでは、次の距離をとることとされています。
| 方向 | 距離 |
|---|---|
| 前と上 | 100cm以上 |
| 横 | 30cm以上 |
| 後ろ | 4.5cm以上 |
これはあくまで一例です。必ず自分の機器の説明書を見てください。カーテンや布団のように、動いて近づく物にも注意が必要です。
NITEが紹介した東京都の調査(2014年)では、電気ストーブを使う520人のうち、正面の物との距離が1m未満の人が63.1%でした。多くの人が説明書より近い場所に物を置いていた、という内容です。少し前の調査ですが、自分の部屋を見直すきっかけになります。
08寝るときと出かけるときはどうしますか
電源を切ります。石油の暖房器具は火を消します。寝ている間に寝返りで布団が触れて火が出るおそれがあります。NITEが紹介した事例では、2025年1月に愛媛県で、電気ストーブを使ったまま寝ていて、寝返りで布団が掛かって焼けたものと推定される火災があり、住宅が全焼し、1名がやけどを負いました。寝ているときや出かけているときは、異常に気づくのが遅れ、火が広がるおそれもあります。
給油のときも、先に火を消します。消してすぐの熱い部分に灯油がかかると、火がつくことがあります。灯油が本体にこぼれたら、内部に入っているおそれがあるので、使用をやめて販売店やメーカーに相談します。
09もし火が出たらどうしますか
NITEは、石油ストーブの火災での消火と避難の目安を紹介しています。
- 炎が背丈を超えていたら、消そうとせず避難します。
- 身の危険を感じたときや迷ったときは、ひとまず避難します。
- 消すときは消火器を使います。B火災(油の火災)に対応したものです。
- 消す前に、自分の安全と逃げ道を確かめます。
消火器を置いている場所と、すぐ取りに行けるかを今のうちに見ておきましょう。実際の判断は、その場の安全を第一にして、119番に連絡してください。
10停電や災害のときに暖房器具を使うときの注意は
NITEの災害時の資料によると、災害の復旧までは、カセットこんろや石油ストーブなどの燃やす機器を使う機会が増えます。狭い部屋、車の中、テントなどの閉めきった場所では使わないでください。換気をせずに長時間使うと、酸素が足りなくなって一酸化炭素が出て、中毒になるおそれがあります。定期的に窓を開けて換気します。
災害のあとは、自治体や消防、ガス会社などの案内も出ます。そちらを優先してください。
11停電が復旧したときに確認すること
- 復旧の前に、分電盤のブレーカーをすべて切ります。
- 機器のスイッチを切り、プラグを持ってコンセントから抜きます。
- 機器の外見に異常がないかを見ます。
- 電源コード、プラグ、テーブルタップ、延長コードに傷や折れがないか、家具や荷物に踏まれていないかを見ます。
- ブレーカーを入れて、プラグを1台ずつ差し、様子を見ながら使います。煙や変なにおいがしたら、すぐ使うのをやめます。
NITEの資料では、スイッチが入ったままだと、復旧のときに異常のある製品に電気が流れて発火するおそれがあるとしています。外見、コード、プラグに異常があるもの、強い衝撃を受けたもの、水に浸かった製品は、使う前にメーカーや販売店の点検や修理を受けます。衝撃でバーナーがずれていたり、水で内部の部品が腐っていたりすることがあるためです。
小型の発電機を使う場合も注意が必要です。運転中の排ガスには一酸化炭素が多く含まれるので、屋内では使いません。屋外でも風通しの悪い場所は避けます。余震で機器が倒れないよう、置く場所も確かめてください。
12確かめる先・相談先
- 消費者庁のリコール情報サイト:キーワードで検索でき、メールで新しい情報を受け取る登録もできます
- NITEのSAFE-Lite:製品名で事故とリコールの情報を検索できます
- 機器を買った販売店やメーカー:異常があったときの相談先です
- 灯油の処分:灯油を買った販売店に相談します
- 火が出たとき:119番
よくある質問
暖房器具の点検はいつすればよいですか?
使い始める前です。NITEの資料では、事故は11月ごろから増え、12月から2月に集中しています。
電気ストーブはどこを点検しますか?
リコール対象かどうか、電源コードとプラグの破損や変形、たこ足配線になっていないかを見ます。
石油ストーブで見る場所はどこですか?
置き台や燃える部分のほこり、灯油の新しさ、カートリッジタンクのふたと漏れです。最初に火をつけたら燃え方も見ます。
昨シーズンの灯油はどうすればよいですか?
使わずに、タンクや本体から抜いて、灯油を買った販売店に処分を相談します。
電気ストーブをつけたまま寝てもよいですか?
NITEは、寝るときと出かけるときは電源を切るよう呼びかけています。寝返りで布団が触れて火が出るおそれがあります。
延長コードは使えますか?
説明書で禁止されていることがあります。使うときは、つないだ機器の消費電力の合計が延長コードの最大消費電力を超えないようにします。
用意するなら
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次にやること
出典(5件)
- NITE「適切な離隔距離、知っていますか?~暖房器具は可燃物との距離を確保して火災を防ぎましょう~」(2026年10月29日)
- NITE 発表資料(PDF)「適切な離隔距離、知っていますか?」
- NITE「災害復旧時の製品事故の防止について」
- 消費者庁「リコール情報サイト」
- NITE「SAFE-Lite」
公的機関などの資料をもとに編集部がまとめました。専門家の監修は受けていません。

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